2014年08月17日

地方議員の口利き


地方議会に関心持とう 片山善博氏

平成26年8月15日 西日本新聞夕刊より

(前略)
 コツコツと真面目に仕事をしている議員も少なからずいる。その上で長年地方議会をウォッチしてきた筆者の印象をあえて言えば、個々の議員だけでなく、地方議会自体もあまり評判はよくない。住民の中には議会に対する諦めや不信感さえみてとれる。
その原因の一つに「口利き」がある。口利きとは、議員が支持者などからの頼まれごとを役所に取り次ぎ、その実現を図る行為をいう。卑近な例を挙げてみる。
 昨年、東京都杉並区などで幼児をもつ親が、保育所の待機児童問題が一向に解消しない現状に業を煮やし、行政不服審査法に基づき異議の申し立てを行った。これがきっかけとなって、その後の多くの自治体でこの問題に力を入れるようになったことは記憶に新しい。
 その頃、筆者は知り合いの議員に尋ねてみた。待機児童問題がこんなに深刻だというのに、議会はこれまで何をしていたのか、と。それに対して議員は不服そうな表情で即座に答えた。
 自分は真剣に取り組んできた。現に昨年も役所に掛け合い、頼まれた子ども3人を保育所に入れた、というのである。その子たちの親や祖父母から随分と感謝されたそうだ。それが有権者の支持をしっかりつなぐことにもなるという。
これが典型的な口利きである。これこそが重要な議員活動だとして熱心に取り組んでいる議員が多いのだが、大いなる思い違いというほかない。
 ちょっと考えてみると容易に分かることだが、保育所の定員を増やさないまま議員が1人の子を押し込めば、必然的にどこかの誰かが1人はみ出る。事態は何も解決しないし、そこに不公正が介在しているから、事態はより悪化したと見るべきだ。
うがった見方をすると、口利きが仕事だと勘違いしている議員にとって、本音では待機児童問題は解決しない方がいい。待機児童がいなくなると、口利きを頼みに来る人もいなくなるから、議員にとっては有権者の支持をつなぐ機会を失うことになる。
 ひょっとして、これまで問題を解決しなかった背景に、議員のこんなゆがんだ心理があったのではないかと、つい勘繰りたくもなる。
 議員たちは本来何をすべきか。それは、支持者から子や孫を保育所に入れてくれと頼まれたら、その子だけではなく他の子どもたちも一緒に入所できるように取り計らうことである。それには保育所の定員を増やすための予算を確保する必要がある。
 もし、そのための財源がなければ、予算案を組み替え、優先順位の劣る事業を削ることで捻出したお金を保育に回せばいい。その権限は議会に備わっている。
 ほとんどの自治体では首長が出した予算案などの議案をそのまま無傷で通しているのが現状である。
 それが自分たちの役目だと思い込んでいる議員が多いが、原案が何も変わらないのなら議会などあってもなくても同じことだ。そうではなくて、住民の意向を踏まえ、議案を是々非々の態度でチェックし、必要なら修正するし、場合によって否決することだってある。
 こんな気概と力量をもつ議員であれば、それこそ議場で下品なやじを飛ばしたり政務活動費の使い道に偽装を施したりする暇など毛頭なかろう。
 出来の悪い議員を選ぶのも有権者なら、良質の議員を選ぶのも有権者に他ならない。この際、有権者は地方議会にもっと関心を持ち、1人でも多く、良質の議員を選ぶように心掛けたいものだ。



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