2017年01月29日

保育園にカフェを併設したら住民が大歓迎!?常識を打ち破る認可保育所の話を聞いてきた

保育園にカフェを併設したら住民が大歓迎!?常識を打ち破る認可保育所の話を聞いてきた
保育園にカフェを併設したら住民が大歓迎!?常識を打ち破る認可保育所の話を聞いてきた
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 どうもこんにちは、まなしばです。
 突然ですが、クイズです。ここはどこでしょう・・?
 何なら、私は何をしているでしょう?
 え?遠い?
 失礼しました。あまりにもステキな場所だったのでとりあえず座って写真を撮ってもらいました。
 今日は、神奈川県の武蔵小杉にある、とある保育園へお邪魔しています。
 これ、保育園ですよ!!!認可保育所です。
 保育園関連のことをいろいろとやってきましたが、今回、保育園を経営されている理事長の方と対談してくれないか、という依頼がきまして、ここで座っている運びとなります。
 「どうしてこんなおしゃれな保育所をつくったの?」
 「ぶっちゃけ近隣住民の反対ってやっぱりあるの?」
などなど、茶々保育園グループを経営されている迫田さんにお話を聞いてきました。

 迫田健太郎。立教大学経済学部を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:㈱アクセンチュア)へ入社。その後、母の経営を引き継ぎ 茶々保育園グループ(社会福祉法人のあすみ福祉会)の理事長に就任。
 迫田さんは、子どもを子ども扱いしない、という、「オトナな保育園」というコンセプトのもと、認可保育所と認定こども園を12園経営されています。(来年開設予定がさらに2園)
 場所は埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、群馬県と、関東一円に展開されているグループです。
 私がいまお邪魔しているのは、神奈川県の武蔵小杉にある、「茶々むさしこすぎ保育園」です。

まなしば
「はじめまして。本日はよろしくお願い致します!」

迫田さん
 「よろしくお願い致します!お茶でも飲みながら、リラックスしながらお話しましょう。」

 ただの保育園じゃない。カフェでリラックスしてからお迎えへ

まなしば
 「建物がすごいオシャレですね・・・こちらの場所は、どういう空間なんでしょう?誰でも入れるんでしょうか?」

迫田さん
 「はい、保育園に併設しているカフェということで、この空間は誰でも入れることになっています。もちろん保育園へは保護者や保育者など関係者しか入れません。」

まなしば
「カフェですか!?斬新すぎます。」

 迫田さん
 「コーヒーサーバーもありますので、ここでお茶して頂いて構いません。もちろん無料です。うちの保育園は「茶々」保育園ということで、お茶畑から始まっているので。小学生が宿題をしにきたり、ご近所のご老人とかもいらっしゃるんですよ。」

まなしば
 「ご老人も、ですか!めちゃいいですね、この空間。保育園って、子どもを守る意味でも閉ざされた場所だという認識がありますが、そんなことも可能なのですね。」

迫田さん
 「そうですね。むしろその、子どもを守るための閉ざされた保育園、というのを変えていきたいですね。
待機児童が、っていって数の話ばかりでますが、質(中身)の話もしっかりしていきたいんですよ。
閉じたままでは、保育士の仕事内容もしっかり伝わらないし、世の中にも理解されにくいと思うんです。業界も変えていかないといけないと思っています。」

まなしば
 「そうですね。そういった保育園の存在ってとても重要な気がします。でも、どうしてこの空間を作られたのですか?」

迫田さん
 「お母さんお父さんたちがリラックスできる空間があればと思いまして。
例えば、普通だと、(先にお迎えに来てほしいので)買い物をしてからお迎えに行くと、怒られたりしませんか?」

まなしば
 「ああ、私もそういうときは、買い物袋を隠して持って行ったりしますね・・。」

迫田さん
 「そうですよね。でもお母さんたちって、その後、子どもを連れて帰って、買い物に行って、ご飯をつくって、食べさせて、お風呂に入れて寝かしつけして・・って、再び戦場に行くような感じじゃないですか。」

まなしば
 「そうですね、まさに。」

迫田さん
 「それってすごく大変でしょ。もちろん保育園としては、1分でも早く迎えに来て欲しいというのはあるんだけれど、それじゃあお母さんたちの心の落ち着く場所がないでしょ。だからカフェを作って、そこでひと休憩してもらって迎えに来て欲しいっていう思いがあります。」

まなしば
 「(まだ序盤なのに感動して泣きそうになる私)ううっ・・・なんていい保育園なんですか。」

▲電源も差し込めるテーブル。朝に子どもを送ってから軽いメール返信などの仕事をしてから職場に行くお父さんもいるらしい。

カフェのおかげで住民は保育所建設に大歓迎

迫田さん
 「ありがとうございます。でも、こういったカフェをつくって、良かったことはそれだけじゃないんですよ。」

まなしば
 「えっ、何ですか?」

迫田さん
 「練馬の方で、保育所をつくるとなったときに、同じようにこういったカフェを作るって宣言したんですよ。そしたら、保育所建設の反対運動どころか、住民の皆さんは大歓迎してくれました。」

まなしば
 「大歓迎ですか!それはすごいですね。ニュースでは保育所の新規建設反対運動なんてものも、よく聞きますが。」

迫田さん
 「この保育園という場所が、カフェも併設することによって、子どものためだけじゃない空間になりました。オープンな場が少しでもあれば、大きな問題ではなくなるんですよね。皆さんカフェに来てくれますし、応援もしてくれます。」

まなしば
「ちょっと常識を覆しすぎじゃないですかね・・!保育事業者の皆さーん!見ておられますか?キーワードは、“オープンな場”です!!これテストに出ます。・・・そんな茶々保育園ですが、やはり保育内容なども熱心なのでしょうか?」

子どもがマルシェで売買!?茶々保育園グループの「オトナな保育」

迫田さん
 「1番の売りは、「マルシェ」でしょうか。子どもたちで野菜を作って、それを収穫し、そして街の人、お父さんお母さんや、ご近所の方に売るというものです。市場みたいなものですね。これを園によりますがだいたい10日に1回行っています。売るのは年に数回ですが。」

まなしば
 「えぇっ、売るんですか?子どもたちが?」

迫田さん
 「そうです。保育園は、衣食住すべてを体験できる貴重な場所です。そこで子どもたちには、社会の一員として、社会ともコミュニケーションを取っていってもらいたいんです。そして保護者やご近所の方には、そんな子どもの姿を通して、子どもや保育所の魅力を伝えていきたいんですね。」

まなしば
 「素晴らしすぎてどうしよう。入りたいです。」

迫田さん
「ありがとうございます(笑)。あとは、オトナな保育というコンセプトのもと、家庭と同じように、大人と同じ目線でご飯を食べられるようにハイチェアーを導入していたりですね。」

まなしば
 「本当だ、家庭と同じですね。オシャレ。」

迫田さん
 「3歳児以降の幼児クラスは、昼食がビュッフェなんですよ。自分で取り分ける練習にもなります。」

まなしば
「うおーすごい。みんな楽しそうですね。あれ、あそこの女性は、調理師さんですか?」

迫田さん
 「そうです。従来の形であれば、調理師さんってキッチンからそこまで出てこないのかもしれません。が、やはり子どもたちの表情を見ながら、一緒に食べてもらって、さらによりよい食事を提供してもらいたいんですよ。子どもたちからの直接的なフィードバックがあったほうが、調理師さんたちのモチベーションにもつながりますしね。」

まなしば
 「もう仕組みが素晴らしすぎます。」

迫田さん
 「キッチンとランチルームがガラス張りで見通しよくしているのも、お互いに理解を深めてほしいからなんですね。子どもたちには調理さんの仕事を見てもらって感謝の気持ちを持って欲しいですし、また調理さんには、子どもたちの表情を見て、現場感を高めてほしいという。」

まなしば
(ちゃらら〜〜んちゃちゃちゃちゃちゃ〜んタタタタターーターターターン♪)(脳内で某大改造ビフォーアフターの音楽が再生中)
 「・・・でも、どうしてここまでやられるのですか?」

迫田さん
 「うーん、やっぱり母が建てた保育園を守りたいというのはありますね。」

まなしば
 「守りたい、ですか。思うんですけど、保育園って、福祉施設という位置づけで、認可保育所だと国や行政からの補助金(税金)もあって、運営されていますよね。いってみれば、頑張らなくても、保育の質を保ってさえいれば、預けたい人もたくさんいて、困らないじゃないですか。それに、運営をめちゃくちゃ頑張ったからといって、補助額は変わらないですよね※。どうしてそんなに頑張られるのですか?」

※行政からの補助額は子どもの年齢や人数等で決められており、頑張ったからといってボーナス等が支給されるわけではない。

迫田さん
 「おっしゃるとおりですね。ただ、いまは預けたい人がたくさんいて保育所が足りていない状況ですが、少子化ですし、今後はもう少しなだらかになってくると思うんです。そのときのために、やっぱり生き残っていかないといけない。現状のままで良いというのは衰退を意味します。安全性を担保したうえで独自性をしっかり打ち出して、生き残っていきたいという思いが強くありますね。」

まなしば
 「なるほど・・福祉施設として、公平公正に横並び、という感覚ではないのですね。」

迫田さん
 「そうですね。園児、地域、社会というような利用者の目線で保育園をつくり、違いを言えるような保育所をつくっていきたいですね。そして、私たちのグループが先陣を切って、保育士の社会的地位の向上も目指していきたいです。」

▲他業界では普通だが、保育業界には保育士の名刺がないところが多い。全員に名刺をつくり、横のつながりも強化しようとしている。

保育士の社会的地位と三歳児神話は関係している?

まなしば
 「素晴らしいですね。保育士の社会的地位向上ですか。うーん、でも保育士って、一般人にはあまり理解されていない職種なのかな、と思います。子どもと遊んで、子守りをしている職業と思われている、というか。」

迫田さん
 「そうですね。そうではないのですが。」

まなしば
 「保育士は、ただ子守りをしているだけじゃなくて、いのちを守って、教育もするという、幼い子どもたちにとってはとても重要な役割を果たしているわけですよね。それを、保育園に預けられている子どもは可哀想だとか、小さいうちは母親が子育てに専念すべきだとか、そういう風潮がいまだにあったりするじゃないですか。3歳までは家庭で母親が子どもを育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼすという三歳児神話は、とっくに否定されているのに※。」

※三歳児神話には合理的な根拠は認められず(平成10年版厚生白書より)、また子どもの発達は、母親が働くか育児に専念するかという形だけでは議論できない(日本赤ちゃん学会 恵泉女学園大学教授 大日向雅美氏より)と言われている。ただし幼少期の子育てがないがしろにされてはいいというわけではなく、幼少期は子どもの発達にとって大切だということは変わらない。

迫田さん
 「まさにおっしゃる通りですね。」

まなしば
 「そういう、やっぱり母親が子育てをすべき、みたいな、社会の無言の圧力が、結果的に保育士の社会的地位や待遇が上がらない理由の1つだとも思うんです。」

迫田さん
 「本当にそうですね。子どもの幼少期の教育は大切なので、我々もできるところから、保育業界全体の保育の質もしっかり上げていきたいところです。」

まなしば
 「迫田さん。」

迫田さん
 「はい。」

まなしば
 「1つ提案なのですが、私がこちらの保育所で保育士を体験させてもらうことって、できますか?実際に体験してそれを記事にして伝えたいんです。保育士って仕事は、子守りをしているだけじゃなくて、ちゃんと教育もしている場所なんだよ、って。」

迫田さん
 「いいですね!ぜひともやりましょう!」

まなしば
 「ありがとうございます!!」

次記事「まなしばの保育士体験」へと続く http://mama-hack.com/chacha2

と、いうわけで、今回の記事はここまでです。

迫田さん、ありがとうございました!!



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