2017年06月22日

【公費解体「利益出ない」 下請け業者の不満高まる】



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【公費解体「利益出ない」 下請け業者の不満高まる】

 熊本地震の被災地で全半壊した家屋の公費解体が進んでいる。県解体工業協会(20社)は「ビジネスとはいえ、社会貢献の側面も強い。業界の存在感を増す機会」と意気込むが、現場を担う下請け業者の間で「利益が出ない」と不満が高まっている。理由に挙がるのが、被災家屋に残る家財道具などの処理だ。

 「復興に貢献できるし、やりがいはあるのだが…」。100棟近くの公費解体に関わってきたという40代の男性社長は、2次下請けとして結んだ契約書に目を落としながら顔を曇らせた。

 県が見込む公費解体の対象は3万5千棟。4月末での進捗[しんちょく]率は62%と順調だ。公費解体の標準単価は、県が国の考え方を参考に提示し、多くの市町村が採用。一般木造住宅の場合、1坪3万5千~3万9千円が目安だ。しかし、この男性社長が示されたのは2万1千円で、「損益ラインぎりぎり。かなり厳しい」と打ち明ける。

 さらに3次以下の下請けになると、契約額はまた下がる。ある業者は「地震直後は坪当たり2万5千~2万8千円だったが、年明けから急落した」と証言。当初は全国から多数が被災地に集まっていたが、利益の低さから撤収した業者は少なくないという。

 市町村の多くは、公費解体の元請けとして同協会と契約。同協会は運営に必要な5%を引き、協会員を中心とした1次下請け業者に降ろす。市町村が解体費を試算するコンサルタントと契約していない場合は、協会がコンサルタント派遣費として2%を差し引く。1次業者には契約料の93~95%が渡り、2次、3次の下請けになると目減りは大きくなる。

 地震後、人手不足に伴う人件費や資材費が高騰しているが、業者の利益を圧迫するのは公費解体が抱える要因も影響する。多くの業者が挙げるのが、被災家屋に残ったままの家具や衣類、食器など家財道具の処理だ。

 公費解体の標準単価は家屋の解体と運搬の各費用で構成。残置物を家の中から取り出し、分別して廃棄する費用は含まれない。ある大手業者は「被災者に『残置物の処理は別料金』とは言いにくい。分別も大変で数日かかり、費用を被ることは多い」と話す。

 県は「残置物は家屋の所有者が解体前に搬出するのが決まり。事前にしっかり家主に説明することが必要」という立場だが、業者側は「全壊家屋から残置物を持ち出すなんて無理。現場の苦労を分かっていない」と反発。「そもそも標準単価に残置物の概念がないのがおかしい」と憤る業者も多い。

 トラブル防止のため、宇城市や熊本市など被災自治体のほとんどは事前の処分を促すチラシを製作。益城町は4月、残置物が特別に多い場合に限り、業者に払う解体費の割り増しに踏み切った。

 日本災害復興学会の理事で、兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の澤田雅浩准教授は「現行の公費解体の仕組みは、残置物が取り出せない全壊と、取り出し可能な半壊を区別していない。解体の必要がない家屋まで解体するケースもある」と指摘。「問題点を洗い出し、今後の災害に生かせるようにしなければならない」と訴える。(上田良志)


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