【2019台風19号支援(その9)・避難所生活など】

飯野健二

2019年10月22日 20:22



 【2019台風19号支援(その9)・避難所生活など】
 https://www.yomiuri.co.jp/life/20191018-OYT8T50135/
 読売新聞オンライン 「避難所生活 注意点は」

  台風19号の被害を受け、避難所での生活を余儀なくされている人たちも多い。配慮が必要な高齢者や赤ちゃんなどの過ごし方の注意点をまとめた。(大石由佳子、矢子奈穂)

 高齢者…水分取る 体動かす
 高齢者の避難生活では、健康管理と、体力低下を防ぐことを意識したい。
 兵庫県立大学地域ケア開発研究所では、ホームページ「命を守る知識と技術の情報館」(http://www.coe-cnas.jp/)で必要な対処を紹介している。研究員の松尾香織さんは「断水が続く地域も多いが、水分摂取を心がけてほしい」と話す。高齢者は特に、トイレの回数を減らそうと摂取を控えがちだが、脱水や便秘になりかねない。水分はなるべく取り、トイレは我慢しない。助けが要る人は、周囲にためらわずに相談する。
 感染症予防のために手洗いやうがい、歯磨きは大切だが、水が使えないなら、除菌用ウェットティッシュや口腔こうくう洗浄液などを活用する。食事量はなるべく減らさず、食べにくい人は、汁気の多い缶詰や栄養補助ゼリーなどで補う。
 避難生活では、動かずにじっと過ごしてしまいがちだ。動かないと体が急速に衰え、歩くのが難しくなったり便秘や不眠になったりする恐れもある。散歩や体操の時間を作るようにし、周囲も積極的に声をかけたい。「例えば、つえを用意してあげるなど、本人が出来ることは自分で行えるように環境を整えてほしい。動かない生活は、意欲の低下など精神面にも影響する」と松尾さんは話す。
 認知症の人は環境の変化についていくのが難しいため、周りの配慮が必要だ。一般社団法人「日本認知症ケア学会」(http://www.chihoucare.org/)は、「認知症の人と家族のための避難所での支援ガイド」を公開。「落ち着く静かな環境」「顔見知りの人が近くにいるといい」などポイントを挙げつつ、福祉避難所が開設されていれば、早めに移動するよう助言している。

 乳幼児…体温める 食器消毒
 公益社団法人「日本栄養士会」(https://www.dietitian.or.jp/)は、避難所での乳幼児や妊産婦などの栄養や生活に関する冊子を作り、ホームページで公表している。
 赤ちゃんにミルクを与える際に哺乳瓶がないなら、赤ちゃんを縦抱きして、紙コップやカップ、スプーンで飲ませることができる。これらの食器はよく洗い、なるべく熱湯消毒して使う。調乳でペットボトルの水を使う場合は、硬水は腎臓への負担が大きいため避ける。液体ミルクは、飲み残しは与えない。
 赤ちゃんの体温は外気温に影響されやすいので、毛布や新聞紙などを巻いて抱っこして温める。
 離乳食には、炊き出しのみそ汁や煮物などが活用できる。妊婦や授乳中の母親は、十分な栄養を必要とするので、不足しがちな野菜や果物はジュースで補うなど工夫する。
 同会は、被災地のある宮城、福島、茨城、長野県に「特殊栄養食品ステーション」を設け、必要な人にミルクや離乳食、アレルギー対応食、高齢者向けの流動食を配布している。問い合わせは同会(03・5425・6555)。
 子どもが遊べる場所も必要だ。被災地で子どもの支援を行う公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の赤坂美幸さんは「子どもにとって遊びは、ストレス軽減や心のケアになるが、遊び場の確保は後回しにされやすい」と指摘する。
 内閣府は避難所運営の指針で、授乳室や子どもの遊び場の整備など、女性や子どもへの配慮を求めている。担当者は「避難所の運営には女性が積極的に関わってほしい。困ったことがあれば遠慮せずに声をあげて」と話す。


 朝日新聞デジタル 「高齢者・障害者・乳幼児・妊婦… 二次被害を防ぐには」  https://www.asahi.com/articles/ASL8X7X9RL8XUEHF01R.html

 


 (1)水分とり動く
 04年の中越地震では、車中で寝ていた被災者にエコノミークラス症候群が多発し、死者も出た。狭い場所で長時間座っていると足の血流が悪くなり、血が固まって肺の血管に詰まってしまう。生死を分けたのが夜間トイレに行ったかどうかだ。気軽にトイレに行けなければ、水分を控えてしまい、血が固まりやすくなる。定期的に水分をとり、足の指やかかとを動かしたり歩いたりしてほしい。<厚生労働省研究班>
 (2)役割持って
 元気な高齢者が被災をきっかけに動かないでいると、歩行困難や寝たきりになる恐れがある。「生活不活発病」と呼ばれる。掃除や散歩などをして活発に過ごすことが予防になる。周囲に必要以上に手伝ってもらわないことも大切だ。<国立長寿医療センター研究所の大川弥生・生活機能賦活(ふかつ)研究部長>
 (3)遠慮せずSOS
 避難していても、周囲に遠慮して何も言わない人もいる。そんな人に気づいたら、声をかけてあげることが必要だ。名古屋市港区港楽学区内であった避難所運営訓練では、1世帯に1枚ずつ「ひなんしゃカード」が配られ、体調や不安なことを書き込んでもらった。手助けが必要な人はピンクのリボン、ボランティアができる人は青いリボンをつけた。<住民の高崎賢一さん>
 (4)偏らぬ食事
 07年3月の能登半島地震では、発生から4日後に便秘や口内炎を訴える人が増えた。食事が米など炭水化物ばかりで、野菜やたんぱく質が不足したのが一因だ。一時的な対応だが、市販の野菜ジュースを飲むなどして、バランスを心がけよう。<石川県輪島市の中條幸恵・健康推進課主事>
 (5)かゆみ・汗対策
 皮膚をかくと傷口から細菌が入り感染症になる恐れがある。電気は比較的早く復旧することが多いので、水にぬらしたタオルを電子レンジで温め、蒸しタオルにして体をふいて清潔に。夏場に汗を放置すると風邪を引くこともある。乾いたタオルを服の前後に挟んで吸い取ってほしい。<阪神高齢者・障害者支援ネットワークの黒田裕子理事長>
 (6)口もきれいに
 体力が低下した高齢者が口の中を不潔にしていると、細菌が繁殖して気管に入るなどし、肺炎を起こす恐れがある。入れ歯を清潔に保つにはコップ3杯の水があればOK。まずコップに歯ブラシを入れて水を含ませ、外でこすり洗いし、もう1杯をかけ流す。最後の1杯で口の中をゆすいで。<石川県歯科衛生士会の能島初美会長>
 (7)家族別に用意
 屋内トイレは高齢者や子ども、女性専用にした方がいい。たとえ屋内でも他人と一緒に使うのを嫌がる人も多い。空き部屋を開放して仕切りとポータブルトイレをたくさん用意し、家族だけで使う「マイファミリー・トイレ」を作ってはどうか。<災害トイレ学研究会の山下亨代表>
在宅希望でも、まず避難所
 「集団生活が難しい」「トイレが心配」などの理由で、助けが必要なのに自宅に残る被災者は少なくない。孤立しないよう声を上げることが大切だ。
 被災障害者の支援団体「ゆめ風基金」の八幡隆司理事は「寝泊まりしなくていいから、まずは避難所に行って」と話す。家にいると伝えておけば食糧を配達してもらえるからだ。
 自力で動けず電話も通じない場合は、誰か外にいる人をつかまえて伝言する。笛の音や懐中電灯の光で知らせることもできる。普段から近所の人とつき合いがあれば安心だ。
 行政側も気配りを忘れてはならない。
 能登半島地震の数日後、石川県輪島市の門前総合支所は、気になる家庭を訪問しようと急きょ約千人分の名簿を作った。ボランティアが道に迷わないよう、住宅地図をコピーし、独居高齢者や精神障害者らの家に印をつけた。8割近く訪問し、引き続き支援が必要な約100世帯の家庭を把握した。
 同支所の飛岡香・長寿支援室主幹は「要援護者の情報を普段から整理しておけば、もっとスムーズに進んだはず」と振り返る。
 最近は、一般の避難所暮らしが難しい人のために、市町村が障害者施設などを「福祉避難所」に指定する動きがある。しかしどこが福祉避難所か知らない人も多い。ゆめ風基金の八幡理事は「要援護者が自分で決めればいい」と提案する。過ごしやすい施設を選んで仲間と一緒に自治体に申し入れ、指定してもらえば、行政側も効率よく支援できるはずだ。
(2007年10月17日朝刊の記事を再構成、肩書は掲載当時)
 
 別件です。
 アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんからです。
 facdebook ページ https://www.facebook.com/andorisu/
 あんどうりすさんHP https://andorisu.jimdo.com/

 以下、あんどうりすさんの facebook の投稿です。

 イタリアの避難所とスフィア(難民支援)基準の話。
 どちらも 最低の権利とされている最低が日本よりも高い水準にあります。
 以下引用部分は、被災公務員の人権のお話。ここ、重要と思っています。
 「イタリアでは前述したように国が中心となって被災地以外から市民保護省と職能支援者が来て避難所を設営し運営します。もちろん被災地の公務員も協力しますが、日本のように被災地の公務員が中心になって避難所運営することはあり得ません。
 大地震を経験したイタリアのラクイラ市の危機管理官は「震災で市町村が避難所を開設するかどうか決める必要は無かった、市民保護省が決め設置した。我々は手伝うだけだった」とはっきりと言っていました。このようにイタリアでは災害支援の必要性は国や州の市民保護省や保護局が判断し、職能支援者と協力して支援物資を被災地まで迅速に運搬・配布し、避難所設営を行い、ベッド、トイレを供給し暖かい食事をその場で作って提供します。したがって被災地の公務員が無理をして避難所運営をする必要は全くありません。これは被災者の一人である被災地の公務員に対する人道的配慮であることは間違いありません。」

 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/299804.html

 以下、あんどうりすさんの別の投稿です。

 水害「子どもに片付けをさせないで」 汚染物質多く、感染、ケガの危険は大人以上に



 https://www.facebook.com/andorisu/posts/2981698838510397

 教えてドクター プロジェクトチーム 小児科医 坂本昌彦先生
 ヨミドクター記事です。
 子どもに水害後の後片付けをさせないでということと、そうは言っても子どもを預かってくれる場所がなければ一緒に片付けせざるをえない現状をどうすればということについて優しく語りかけてくださっています。
子どもの居場所(遊び場)確保と、子どもに水害後の片付けをさせないという事はセットで議論してほしいこと、
 そしていつも、どんな人にも共感の気持ちで接する言葉だからみんなの心に届きます♩
https://web.smartnews.com/articles/hwVjeYqxivB

 
 

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