2015年04月28日
世界(講談社)4月号 特集 これが復興なのか
【世界(講談社)4月号 特集 これが復興なのか 】
この中の山下祐介、首都大学准教授の寄稿の一部です。
(前略)
原発事故被害地域を見ておこう。こちらでは、様々な理由から帰ることができない多くの人々を尻目に、帰還政策がたんたんと進行している。人々がそこに戻るかどうかはお構いなく、除染とインフラ整備で帰る条件さえ整えれば復興は完了するといわんばかりの状況だ。人々が帰れないのは放射能が怖いからということだけではない。長期広域避難してしまった社会は元通りにならず、廃炉の行程も不透明で、再事故の危険がなくなったわけでもない。賠償も加害者ペースで、事故処理をめぐる責任の所在も不明確だ。ここでもやはり当事者不在でただ復興事業だけが進んでいく。
(中略)
被災者には、政府が示す巨大公共事業にのるかのらないかの選択しかない。
(中略)
いったんあるところで決まってしまった政策が、既成事実化して路線変更できないような構造を作り出しており、当事者にとっては、その事業に「のる」か、「のらない」かの二者択一しか選択が残されていないーそういう事態が生じているのである。
(中略)
冷静で確実で、責任の所在のはっきりした政策形成プロセスの確保、それが被災地でいま一番必要なことだ。政府には、復興の当初予定最終年度を迎えて、いま一度、勇気を持ってこの震災•原発事故の復興過程を見直し、真に適切な政策形成が実現できるよう、万全な態勢づくりを望みたい。住民と自治体が冷静に議論を進め、無理な復興プロセスを回避して、より適切なものへと、しっかりと軌道修正できるよう、資金面での工夫も含めたソフトな政策修正支援こそが被災地に求められる。
(後略)
Posted by 飯野健二 at 18:37│Comments(0)
│東日本復興支援
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。